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活動レポート

環境自立めざすフィリピンの小さな町「クリーンでグリーンな地域とブルーな水環境のために」

環境自立めざすフィリピンの小さな町「クリーンでグリーンな地域とブルーな水環境のために」
フィリピン・ルソン島南端の海辺の小さな町、ソルソゴン州マトノッグ町。ごみや生活排水で近年環境が悪化しており、住民がごみ管理に取り組み始めました。現地提携団体 AFSソルソゴンの代表 ジーナ・A・ヤップさんからのレポートを、会報誌アジアネット155号のトップ記事から抜粋してお伝えします。

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フィリピンのソルソゴン州マトノッグ町は、ルソン島南端の海辺に位置する小さな町で、40村で構成されています。村人は半農半漁で生計を立てていますが、小規模で安定した収入がないため、月の収入が8000㌷(約2万円)にも満たない貧しい人々が多く住んでいます。私たちはAFSメンバーとしてJAFSと共に、住民の生命と健康を守る衛生的な飲料水供給や農業支援、台風被災者支援、マングローブ林再生のための植林などをしてきました。

地域の近年の大きな問題は、環境の悪化です。水や土壌が汚染されることにより、農地や漁場から以前のように収穫できなくなってしまったのです。台風などの災害が多いこの地域では、町の予算は被災者支援や復興支援が優先され、ごみ対策ができていません。

生活圏に近い川や海の水は生活排水やごみによって汚染され、悪臭を放っています。なす術なく不衛生な環境で暮らさざるを得ないのです。コロナ禍でさらに収入が減る村人が増える中、緊急に解決しなければならない課題として、私たちは住民主体のごみ管理に取り組みました。村人の声とともに活動について報告します。
センター作り分別セミナー、有機ごみから堆肥づくり
まず、プロジェクト委員会を発足させ、堆肥化および育苗センターを建設しました。カマチレス村の家庭40世帯を選出し、ごみ分別セミナーを開いたり、有機ごみの堆肥化・緑化の研修をしました。

今では200㎏/週(800㎏~1000㎏/月)の有機ごみを市場や各家庭から持ち寄り、80~120㎏/月の堆肥を生産しています。循環利用することで有機ごみを減量し、ごみがそのまま捨てられていた川や海の水質や環境が改善されます。

この堆肥化および育苗センターは、地域のさまざまな情報を提供できるリソースセンターとしても活用されています。

村人からは「今まで生ごみの処理に困っていましたが、衛生的な堆肥化が学べ、植物や野菜をうまく育てる方法を学べるのはとても楽しみです」(主婦)といった声が寄せられています。
センター作り分別セミナー、有機ごみから堆肥づくり
国際クリーンアップイベントに参加、ネット通じ世界と連帯
地域のクリーンアップイベントを定例化し、国際クリーンアップイベントへも参加しました。小・中・高校の子どもたちや教師・保護者会・村人・自警団・保健婦などが参加。ごみの多さに驚くとともに、きれいになった浜辺や、オンラインで他のアジア地域でも同じ目的で活動している仲間がいることに、力づけられました。一人一人が地域環境と併せて地球環境への意識を高め、地域・国を超えて地球全体の水環境のために行動するメンバーを増やしています。

学校や公共の場所に分別用のごみ箱を設置し、有機ごみは堆肥化へ、ペットボトルなど有価物はリサイクルに、その他のごみは行政と連携して処分できるようになりました。住民の熱意が行政を動かし、ポイ捨て禁止やごみ分別の看板も設置されました。

イベントなどに参加した子どもたちから寄せられた感想です。
「とても楽しく活動した。きれいになった海で泳ぐのは本当に気持ちがいい」(小学生)
「住宅地の家庭からのごみが、川や海にこんなにも多く流れていることにショックを受けた」(高校生)
国際クリーンアップイベントに参加、ネット通じ世界と連帯
安全な野菜を各家庭へ
地域の緑化と野菜栽培による住民の栄養改善にも取り組みました。苗木は野菜や果物、花、樹木などを毎週、種類を変えて50ポット育てました。そして各家庭に緑化のために植えられています。

堆肥を使った植物や野菜の栽培の実習を通して、住民間のネットワークを構築し、積極的に情報交換をすることで、地域での緑化や安全な農業を促進し、食卓の栄養改善を図ります。
それぞれ自慢の菜園や野菜を使った料理の写真をSNSに投稿し、互いの活動状況やアイデアを共有します。村人同士が力づけ合い、継続への活力となっています。

土を汚染する化学肥料をやめ、多くの人が有機肥料で安全な野菜を栽培するようになりました。給食の提供や各家庭の栄養改善に役立っています。さらに、現金収入の少ない家庭の暮らしを支え、村で持続的に暮らせる世帯が増えるよう、事業を推進しています。

「セミナーで学んだことが自分に実践できるか不安でしたが、SNSグループで他の参加者と情報交換することができ、力づけられて続けることができています」(学生)
「緑があると涼しい気分になります。自分たちで有機野菜や果物を栽培し、食べ、健康に過ごせることを家族で喜んでいます」(世帯主)
安全な野菜を各家庭へ
近隣の村からも問い合わせ
新型コロナウイルス感染症の拡大により、プログラムの回数や参加人数などの制限を受けることもありましたが、公衆衛生に対する考えや人々の価値観の変化は、この課題解決に好機となっています。フィリピンの人々が、豊かな海や陸の自然の中、より衛生的な環境で持続可能に安心して暮らせること、アジアや世界の人々と連携して、地球環境保全やSDGsなどの共通目標の達成に向けて、協力していくことを願っています。

1年間活動を続けて、少しずつですが確実に住民の環境に対する意識は変わり、地域にも良い影響を与え始めています。活動を知った近隣の村からもセミナー開催や活動参加について多くの希望や要請が届けられています。

学校や教会ではCLAYGO(Clean as You Go=来た時よりも美しく、行くところすべてきれいに)の実践も始めました。一時的ではなく継続し、定着させていくためには、さらに広い地域に活動を拡大し、より多くの人が参画できる環境を整え仲間を増やすことにより、住民自身のアイデアにより新たな取り組みと具体的活動を創り出していければと思います。

日本の清潔な環境や清掃に関する意識や習慣はいつも私たちを力づけてくれています。ぜひ一度私たちの地域を訪れてください。共に活動できることを楽しみにしています。

◆この事業は、第17回TOTO水環境基金から助成を受けて取り組んでいます。
他にもたくさんの活動レポートがあります
会報誌アジアネット155号には、他にもアジアや国内の活動情報が満載。以下のURLからご覧ください。
https://jafs.or.jp/user/media/jafs/page/about/summary/155.pdf

アジアネットのバックナンバーは下記ページにあります。
https://jafs.or.jp/about/summary.html
他にもたくさんの活動レポートがあります

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