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活動レポート

空き缶集めネパールに学校を贈る―富田林・沖田さん夫妻の35年

空き缶集めネパールに学校を贈る―富田林・沖田さん夫妻の35年
1991年から35年間、空き缶回収という地道な活動で、ネパールの子どものために校舎の建設費用を集め続けられた、大阪府富田林市の沖田さんご夫妻と活動グループ「ラリグラス」。これまでに計5棟の新校舎を贈られ、各校約150名の生徒が元気に学んでいます。
これまでの活動と、3月にスリーサンティ小学校の新校舎を訪問された様子を紹介します。

会報誌アジアネット162号の特集記事から抜粋してお伝えします。
5棟目の新校舎が完成
スリーサンティ小学校は、首都カトマンズから南西方向に175キロメートル。車で7時間かけてスリーサンティ小学校に到着。校門前から大勢の人だかりで、車から降りる私たちを総出で歓迎してくれました。その先にある完成した校舎を目にして、思わず涙がこぼれてきました。ようやく叶ったネパール訪問です。3月30日、JAFS富田林地区会(大阪府富田林市)の愛称ラリグラスのメンバーと、スリーサンティ小学校の新校舎完成式典に参加し、現地の人たちと共に完成を喜び合いました。これまで、30年以上も継続してネパールに校舎を贈る運動を続け、これで5棟目の完成です。

 校舎の完成は富田林地区会の皆様のご協力で実現できました。校舎を贈った小学校はこれで5校目です。今回の完成式には、富田林地区会から5名、JAFSスタッフ1名、ネパールスタッフ1名の計7名が参加しました。
 完成式の会場は日よけテント張り。長時間の式典でも大丈夫なようにしてありました。音楽隊の歓迎演奏に始まり、司会者から紹介を受けました。校舎除幕式から表彰式まで進み、校長先生や村長など学校関係者の演説、歓迎の演奏や舞踊が続きました。終わり近くになって私の挨拶になりました。

 「私たちJAFS富田林地区会は、決してお金持ちではありません。私たちはアルミ缶を集めて売ることで収益を得ました。また地域の人たちから衣類などの不用品を寄付してもらい、滝谷不動尊という寺の縁日や地域の催し会で売って建設資金を貯め、この学校に校舎を贈ることができました。耐震性の高い鉄筋コンクリート造りです。この学校で皆さんが勉強に励むことを望みます」と挨拶しました。
 そして日本から運んだ学用品(筆箱・鉛筆・鉛筆削り・消しゴム)セットを、約150名の生徒に、地区会5名で一人一人に手渡しました。生徒たちは大喜びで私たちは再度感激でした。
5棟目の新校舎が完成
子どもたちから感謝の声
◇サラ・ムサハール(5年生)
 こんな素晴らしい校舎を建ててくださりありがとうございます。新しい教室で勉強ができとても幸せです。使いやすい机や椅子も気に入っています。

◇レシナ・ボホラ
 この新しい教室にいると、とても幸せな気持ちになります。こんな最新の教室で勉強できるとは思っていませんでした。このご支援は忘れません。

◇スニル・グルン
 新しい教室がとても気に入って、よく絵を描いています。素晴らしい教室で学べるようにしていただき、ありがとうございます。このような支援を多くの人のためにお願いします。
きっかけは、裸足の売り子と草ぶき掘立て校舎
私とネパールとの関わりは、30数年前の1991年に、第2回ネットワークセミナーに参加してからです。カトマンズとポカラを会場として行われました。当時のカトマンズ市内は街灯もなく、舗装もされていませんでしたが、今はLED街灯がまぶしく輝き、道路も舗装されていました。これならピトゥリ村やポカラに行く道路も舗装されていると期待しましたが、大部分は未舗装で、拡幅工事が盛んにされていました。

 91年の訪問時は、ポカラ周辺をトレッキング。現地の方と交流しAFSネパールのメンバーと知り合いになり、現在も数人の方と交流があります。その時、ポカラでのトレッキングで私の胸に焼き付いたのは、私たちのグループに果物やお土産を売りに来る子どもたちが、幼子にも関わらず赤ちゃんを背負って裸足だったことです。学校にも行かず物品売りに来る子どもたちは、どんな生活をしているのか、大変興味を持ちました。聞くと、子どもたちは家族の中でも重要な働き手で、働いて家計を助けているのです。

 まずゴム草履を何足贈ればいいのだろうかと深刻に考えました。私の全財産で何足買えるのか。でも消耗してしまえば終了だな…と。考え抜いた挙句、「教育が必要!」。従って学校を整えようということで、その運動をこれまで続けてきたのです。
 学校へも訪問しましたが、校舎は草ぶき屋根の掘立て小屋でした。その時「何か私にもできることはないか」と考えていました。
空き缶集めをスタート
帰国して市のビンやカンの収集日にアルミ缶が多く捨てられているのを見て、アルミ缶を集めてスクラップ屋に売りに行きました。するとかなりのお金になりました。アルミ缶を収集し始めた頃は車も無く自転車にも乗れず、ゴミ袋を前後に1袋ずつ積んで自転車を押して持ち帰っていました。収集場所で回収の職員さんと出会ったら「時間があったら手伝ってあげるのになぁ」と言ってくれました。今はもう持ち帰れませんが、その後はご近所や有志の方々が趣旨に賛同して家まで届けてくださるようになりました。そうして集まった缶がある程度たまったら業者に買い取ってもらいます。

 アルミは国際商品で値段の高低が激しく、安い時は1㎏40円、高い時は200円。その他、地域の方から頂いた不要品や手作り手芸品を、滝谷不動尊の縁日で販売もしました。その収益で100万円ほど貯めると、ネパールに校舎を建てる資金とし、1棟、また1棟と、これまでピトゥリ村に3棟、トゥクチャ村に1棟を建てました。
 以前は1棟100万円ほどで建てられましたが、最近は、インフレと耐震構造を求められる影響で建設費が高くなっています。今回は、校舎1棟で約300万円、机・椅子・ホワイトボード・ロッカーなどの備品で約100万円、計400万円ほどかかりました。
空き缶集めをスタート
30年前に建てた校舎は今~地域に役立つ人育つ
スリーサンティ小学校の完成式の前に、1995年に2棟目の支援として建設したピトゥリ村のラズマンディル小学校に立ち寄りました。試験後の休みの日で生徒たちは居ず残念でしたが、学校の現況をつぶさに見学し、屋根がかなり傷んでいて雨漏りがしていると報告を受けました。校長先生は若い先生に代替わりしていましたが、みんなで大切に校舎を守ってくれていることが、小一時間ほど先生方と交流して感じられました。

 以前は学校に行かない子どもの方が多かった地域の学校が、今ではこの郡の全小学校中、実力テストでトップの成績を収めるようになっているとのこと。この学校は2回目の訪問でしたが、以前と比べると、先生たちがこの学校で誇らしく教師をしている様子が伝わってきました。もう一つうれしいことに、JAFS里親の会で私が支援をして何とかこの学校を卒業した女の子が、新年度から教師として戻ってくると紹介くださいました。地域のために教師を輩出できているのです。
他にもたくさんの活動レポートがあります
会報誌アジアネット162号には、他にもアジアや国内の活動情報が満載。以下のURLからご覧ください。
https://jafs.or.jp/user/media/jafs/page/about/summary/162.pdf

アジアネットのバックナンバーは下記ページにあります。
https://jafs.or.jp/about/summary/asianet.html
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