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活動レポート

女子の人権、農村から高めたい

女子の人権、農村から高めたい
女子の人権、農村から高めたい
アジアの農村では、男子に比べて女子の教育が軽んじられる傾向が未だあります。
そんな中、農村に女子高校を開設したり、退学の一因となる児童婚を防ぐ活動により女子の教育機会を増やす、【1】インドと【2】バングラデシュ の取り組みを紹介します。

会報誌アジアネット158号のトップ記事から抜粋してお伝えします。
【1】インド社会の変化映して~創立28年 コスモニケタン学園の取り組み
インドの貧しい農村の子どもたちのために、JAFS協力の下、カルナータカ州の提携団体BSVIAが1996年に設立した日印友好コスモニケタン学園(小中学校)。これまで多くのご支援を得て、たくさんの卒業生が社会に巣立っていきました。
 コロナ禍では経済的理由などで退学する生徒が増えたことによる経営危機で、2022年、財政基盤を安定させるために、皆さんのご支援ご協力をいただいてサトウキビ栽培を始めました。干ばつに見舞われるなど天候に恵まれず、これまで満足な収穫量は得られていませんが、努力を続けています。
 一方、インドの教育事情も学園設立当初とは大きく変化しています。この状況下でもコスモニケタン学園での教育を求める子どもや保護者の期待に沿えるよう、また変わりつつあるインド社会を生き抜き、より良くする大人になれるよう、教育の方向性を変えつつある学園からの報告をお伝えします。
・・・無償の公立小中学校が村々に
2021年以降、カルナータカ州政府は、コスモニケタン学園近くの各村に数校の公立中学校を設立。教科書、制服、給食、そしてもちろん授業料も無料で教育を提供するようになりました。以前は人口3千人以下の村には中学校がありませんでした。また現在、公立小学校も全て無償になっています。多くの貧しい子どもたちが、無償の小中学校教育を受けられるのは喜ばしいことです。しかし制服代や諸費用が必要な当学園が、十分な生徒数、特に小学生を集めるのは少し難しくなるでしょう。
 日本の多くの方の協力で開校でき、20年余りずっと支援してくださった日本の人々への恩返しのためにも、学園が地域の子どもたちのために果たしてきた教育の役割を、将来にわたり続けていかなければと思っています。
・・・質の高い教育で文武優秀
コスモニケタン学園の設立当初から熱意の高い教師たちがいます。子ども一人ひとりの総合的な発達を目標として、生徒の道徳的・身体的・学問的能力の向上に熱心に取り組んでおり、生徒とその保護者に満足していただいています。この結果、中学校卒業認定試験で地域トップの成績を示し、地域のスポーツ大会でも常に優秀な成績を収めています。ここにコスモニケタンが存在する意義があると信じています。
 生徒たちは地元や近隣の村に公立学校があるにも関わらず、50㌔離れた辺鄙な村からも、そして多少の自己負担があっても学園に来ています。このことは、コスモニケタンで質の高い教育を受けたいという子どもたちや保護者の要望の高さを示しています。
 全ての子どもが等しく教育を受ける権利を有するのみならず、発展しつつあるこれからのインドでは、能力を伸ばし高める権利も、貧富を問わず、住む場所に関わらず、全ての子どもが持つものと考えています。
・・・英語での授業を再開
学園では、カルナータカ州の公用語であるカンナダ語(インドは州ごとに公用語が異なり18言語ある)で授業を行っていますが、今年6月から英語で授業するクラスを再開し、幼稚園児から受け入れる予定です。既存の校舎を使って始め、年々上級学年クラスを増やしていきます。
 国の公用語は英語ですから、卒業後の進学や就職に際して英語が使えることが有利であり、生徒や保護者も英語の授業を望んでいます。
・・・女子高校開設を求める声
また2025年に女子高校を開設する計画を進めています。これまで女子は男子に比べて教育が軽んじられる傾向があり、例えば学園でもコロナ禍で失業した家庭で、口減らしのために12歳の娘を退学させ結婚させたケースもありました。しかしコスモニケタンで学んだ女子生徒には、中学課程を卒業後、高校に進学したい熱意のある子どもが多くいます。
 ですが現在は高校に行くのなら、家から30㌔ほど離れた中心都市ビジャプールまで長時間バス通学をしなければなりません。保護者は安全上の理由から、このような長距離バス通学を娘にさせたくありません。なぜならインドでは、バスの中で女性が暴行される事件が時々起こるからです。そのため女子生徒や保護者から、コスモニケタンに女子高校を設立してほしいとの要望があるのです。
 高校開設には、政府の許可を得るに十分な設備と運営資金が必要です。私たちはこのプロジェクトに興味を持ち投資してくれる人を探しています。
・・・地球環境にも貢献
気候変動のためか近年頻発する干ばつなどの環境異変は、人々に将来の不安を感じさせています。この点でもコスモニケタンの役割は貴重です。スポーツの地区大会などが学園で実施されることがよくありますが、他校からの参加者の中には、チリ一つ落ちていない校舎や緑豊かな環境にあこがれて転校してくる生徒も少なくありません。
 過去30年間、BSVIAはJAFSと協力して環境問題に熱心に取り組み、国際植林キャンプなどで延べ数千人の生徒と自然保護に取り組んできました。毎年、コスモニケタンを卒業する生徒が植樹し、後輩たちにその世話を引き継いでいきます=表紙写真。学園は、地球社会の健全な未来にも貢献しています。
 (BSVIA代表 サチダナンド・クンバール)
【2】バングラデシュ~女子の教育機会が児童婚防ぐ
【2】バングラデシュ~女子の教育機会が児童婚防ぐ
「バングラデシュの女子生徒の教育の機会を増やしたい、教育向上に力を貸してほしい」。そう訴えるのは、現地提携団体Basic Development Partners(以下BDP)の代表ヘモント・コライア氏。理由は児童婚を防ぐためです。

 バングラデシュの特に農村地域では、児童婚が未だ多い状況です。コロナ流行以降、18歳までに結婚する女の子の割合が13%増え、51.4%になっています。一方、男の子が18歳までに結婚する割合は4%程度です。法律上、結婚できる年齢は女性18歳以上、男性21歳以上と定められていますが、守られていないことが数字から見えてきます。
 BDPが活動している地域のうち、ネトロコーナ県とジャマルプール県では貧困率が高く、教育を受けたことがない家庭も多くあります。そのためBDPが支援する子どもたちの両親も教育を受けたことがなく、教育の重要性を十分に理解しておらず、児童婚の認識が不足しているなど、教育に関する情報が不足している家庭が多く存在しています。

 そのような状況を少しでも改善していこうと、BDPは長年、教育分野を中心に活動を展開しています。「私たちは1年や2年の短期間ではなく、何10年も同じ地域で教育活動を続けています。継続して活動している私たちだからこそできるサポートがあり、信頼関係を築くことができています。そのため、私たちが関わっている子どもたちの両親には、教育の重要性を心底理解してもらえます。多くのNGOが短期間で事業を終えてしまいますが、私たちBDPは地域に根付くまで活動を続けています」とヘモントさんは言っていました。
 子どもたちに教育の機会を与えること、親に教育の重要性を理解してもらうことの双方が、教育向上を目指すには必要です。特に弱い立場に置かれている女の子たちを重点的に教育サポートすることで、児童婚を防ぐことができ、より多くの子どもたちに教育の機会を与えることができます。

 JAFSも、アジア里親の会を通じて、バングラデシュの子どもたちの教育を支援しています。学費が払えない子どもたちの中等教育課程の就学を今後も支えていくと同時に、多くの女の子たちの教育を支援していきます。
他にもたくさんの活動レポートがあります
会報誌アジアネット158号には、他にもアジアや国内の活動情報が満載。以下のURLからご覧ください。
https://jafs.or.jp/user/media/jafs/page/about/summary/158.pdf

アジアネットのバックナンバーは下記ページにあります。
https://jafs.or.jp/about/summary/asianet.html
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